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まったり趣味を満喫するブログ。気になったことを記録していく予定。

映画音楽ヒットの法則~アラン・メンケン編

 ディズニー関連ブログ Advent Calendar 2017 - Adventarの記事です。11日目!

主催ありがとうございます!毎日楽しみに見てます。

ディズニーアニメとかいったけど幅広すぎてしれっとアラン・メンケンに絞りました!…が、たぶんかなり長いです…すみません…

 

音楽の重要性

この季節って、ディズニーソングだ!と思ったらクリスマスソングだった、みたいなこと良くありますよね。ありますよね?

 

パークという特殊な空間だけではなく、様々な場面で音楽というものは重要な役割を果たしてきました。

例えば先に挙げたクリスマスソング。これを聞けばほとんどの人がツリーや雪などのクリスマスにまつわるものを思い浮かべるのではないでしょうか。

一般的に、音楽はイメージを伝達するのに最適な手段の一つと考えられています。たとえばシン・ゴジラエヴァンゲリオンのEM20は、使用シーンの緊張感や使命感を伝えてくれます。ここがたとえばギャグ調の音楽とかになってしまうと、やっぱりシリアス感は出せないのです。完全にギャグである。

逆に、紅蓮の弓矢にミッフィーのアニメを当ててみるとしましょう。ミッフィーが何故か強そうで、闘志に満ち溢れたような存在に見えてきませんか?

このように、音楽と映像、視覚と聴覚の関係はとても重要なのです。

 

ディズニーアニメーションと音楽

ディズニー長編アニメーションといえばミュージカル、とよく言われますよね。

ミュージカルタイプの作品の中でも、代表的な作品といえば、やはりアラン・メンケンが劇伴を手がけてきた作品ではないでしょうか。

リトル・マーメイドからはじまり、アラジン、美女と野獣ノートルダムの鐘、ヘラクレス魔法にかけられて、それから塔の上のラプンツェルなどなど。

アラン・メンケンの名前は知らなくても、曲は誰もが知っている。ディズニーのみならず、アニメーション、映画界においても代表的な作曲家のひとりといえます。

リン・マニュエル・ミランダ、ロペス夫妻、それから伝説のシャーマン兄弟など、ディズニーにおいて天才的といえる作曲家は沢山いますが、それだけ質の高い音楽が映画には重要ということでもあります。

 

 ヒットの法則とは

何故アラン・メンケンがこれだけのヒットソングを生み出すことが出来ているのか。

その理由のひとつは同じメロディを様々な場面で使うことです。  

ここ最近で爆発的ヒットを記録した「アナと雪の女王」のプロモーションを思い出してみてください。みなさん死ぬほどレリゴーを聞かされたと思います。しかし、その結果としてアナと雪の女王知名度は抜群になり、映画としても大ヒットとなりました。

実は心理効果のひとつとして、同じものに何度も触れることによってそれを好きになっていくというものがあります(単純接触効果といいます)。

そう、「同じ曲を何度も聞かせる」、つまり「同じメロディを繰り返す」。これがひとつのヒットの法則になるんです。

 

メロディの使い回し

アラン・メンケンの真骨頂は「メロディの使い回し」。

メロディの使い回しは簡単そうに見えて、とても難しい技術です。配分や入れどころ、アレンジをひとつ間違えるとそのメロディが完全に異質なものになり、全体から浮いてしまいます。

なので、過去に登場したメロディを使用する場合、そこには大抵採用する理由、意味が存在します。

たとえば進撃の巨人OPを担当したLinked Horizonのアルバム「進撃の軌跡」では、「紅蓮の弓矢」「自由の翼」2曲のメロディが各曲の随所に使用されています。作品そのものを表現したこの2曲のメロディを各曲に含むことで、「進撃の巨人」のコンセプトアルバムとしてのまとまりをもたせています。あ、このアルバムは進撃の巨人好きな人におすすめな1枚です。(突然の宣伝)

 

リプライズ

同じメロディによる表現、というと多くは「リプライズ」を思い浮かべると思います。

特にアラン・メンケンの作風としても知られていますね。

たとえばリトル・マーメイドのPart of your worldは「いつかは行きたい」という願いを歌う曲ですが、オリジナルではぼんやりしていた願いに対し、リプライズでは「あなたに会いに行く」と明確な意思に変わっています。

舞台版アラジンのProud your boyでは「どうしたらいいかわからないけど、自慢の息子になる」というこれもまたどこか曖昧な決意を歌います。しかし、リプライズでは王子を装い続けたことに対して「正しい道を選ぼう。自分がなりたいのは自慢の息子だから。」と明確な行動へ繋げる決意の曲になっています。

美女と野獣のBellもそうですね。最初に街の人々からみた「変わり者のベル」というベルの人間像のさわりにあたる要素を歌い、リプライズでは彼女自身に焦点を当て、ベルの思いを表現します。

このように、同一のメロディを用いて異なるシーンの表現を行うリプライズはアラン・メンケンが劇伴を担当していないアナと雪の女王やモアナと伝説の海でも踏襲されており、2作とも同じ曲で全く違うことを表現させています。もはやディズニーの伝統といえるでしょう。

もちろんそこに新しい曲をつけてもよかったはずです。しかしあえて同じ曲を使用することで、その物語の時間経過に応じたキャラクターの成長やキャラクターのパーソナリティをより印象的に伝えることができるのです。

 

リプライズ以外にもあるよ!

リプライズの場合、曲名に「リプライズ」と明記されます。曲名が同じであるということで、つまり同じメロディであることが明示されます。

ただ、アラン・メンケンは彼自身がインタビューでも度々話す通り、「一つのテーマとなる曲を主軸にして、全体を構成していく」という手法を取っているため、リプライズ以外にも同じメロディを使うことが多くあります。

例を挙げると、リトル・マーメイド、アラジン、美女と野獣ではそれぞれのエンディングにテーマソングとなるPart of your world, A whole new world, Beauty and the Beastのメロディが組み込まれています。

それ以外にも、美女と野獣では、Bellの「Here's where she meets Prince Charming. But she won't discover that it's him 'til Chapter Three!」でベルが「王子様にみえなくても王子様である」つまり人は見かけによらないという価値観を知っていることを示し、またこれからの物語を示唆します。

その後物語中盤のSomething thereで「True, that he's no Prince Charming. But there's something in him that I simply didn't see」と歌い、ベルの気持ちが変わり始めている(野獣がベルにとっての王子様になりつつある)ことを表現します。

そして最後のTransformation、野獣の呪いが解ける映像の後ろでこのメロディが流れます。

「彼が王子様だと気づかない」→「王子様ではないけど…」と続いてきたこのメロディですが、Transformationでとうとう観客は彼が王子様であることに気づくのです。

 

また、冒頭の呪いをかけられるシーンの音型が、野獣の呪いが解けるシーンにも使用されていたり、実写版ではDays in the sunにおけるベルのパートにHow does the moment last foreverのメロディが使用されています。

 

つまり、アラン・メンケンが大好き

最終的にはそういうことです。

アラン・メンケンの同じ音型を多用する作風が私はとても好きですし、それこそがヒットに一役買っているのだろうと思います。

また、記事中にも挙げましたが、モアナと伝説の海、アナと雪の女王アラン・メンケンが担当していない作品でもリプライズなどの作風が受け継がれています。これはもはやディズニーの伝統といっても過言ではないのでは、と思っています。

ちなみに私も全然気づけていないところはもちろんあるので、こことあそこのメロディも一緒だよねーとかあれば教えてください。私が興奮します。

最後に

D23EJのコンサートはチケットご用意してもらえませんでしたが、リトル・マーメイドコンサートは妹がとってくれたのでいけます。ありがとうかわいい妹。